JaLCDOI 10.18926/66615
フルテキストURL oupc_012_061.pdf
著者 山本 力|
抄録  岡大方式のケースカンフアレンスで用いる事例報告の書き方の要領を示すことが本稿の主な狙いである。その前提として,「事例」とは何かを再確認し,事例の検討範囲,ないしは分析の単位についても言及した。ケースカンファレンスには査定のカンファ(インテーク会議),途中経過を検討する定例カンファ,終結事例や中断事例を総括するカンファの3種がある。そのカンファの目的に応じて,報告のレジュメも書き分けられる必要がある。最後にスーパービジョンの多様な形態について触れ,そこでの事例報告の仕方にも簡単に論究した。
キーワード 二人称の事例報告 ケースカンファレンス レジュメ作成 面接の舞台 物語る
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2013-12-25
12巻
開始ページ 61
終了ページ 68
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66613
フルテキストURL oupc_011_033.pdf
著者 山本 力|
抄録  アメリカのオレゴン州,ポートランドに全米遺児・遺族をサポートする,ダギーセンターがあるがある。本論文はそのセンターでの研修報告である。大切な人を亡くした幼児から青年までの子どもたちが通い,分かち合いやプレイ,創造的な活動を通して,悲しみに適応していくことを促進する,年間650人前後の人たちが利用している。その支援の核心は「安全な居場所でのサポート」にある。本論文では,筆者の研修経験を掘り下げながら,「安全な居場所」をどう提供するのか,「安全な居場所」となるための要件は何か, という問いを解明しようとした。
キーワード 安全な居場所 遺児 グリーフケア サポートグループ ダギーセンター
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2013-02-28
11巻
開始ページ 33
終了ページ 41
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66610
フルテキストURL oupc_010_025.pdf
著者 山本 力|
抄録 災害や事件・事故の被害者たちへの危機介入は,今日の社会において大きな課題となっている。コミュニテイ臨床という視点から精神科医Lindemannは,犠牲者の急性悲嘆に関して,悲嘆反応に関する詳しい症候学的な観察と記述を初めて行った。1942 年,アメリカのボストンにあるナイトクラブで火災が発生したが,彼は多数の犠牲者の遺族の治療と観察を行った。そして,その反応を「急性悲嘆症候群」と命名し,悲嘆反応の特徴を明確にすると同時に,病的悲嘆や予期悲嘆の特徴も報告した。本論文では,こうしたLindemann の論文を紹介しつつ,その内容について今日的視点から検討を加えたものである。
キーワード 悲嘆 ココナッツグローブ火災 病的悲嘆 予期悲嘆
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2012-02-29
10巻
開始ページ 25
終了ページ 31
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66608
フルテキストURL oupc_009_033.pdf
著者 山本 力|
抄録  喪失と悲嘆に関する認識を明細化する作業を30年余り継続してきたが,近年,欧米の悲嘆理論は変貌をとげ,深化してきている。その理論的展開については,本紀要の第7号「Niemeyerによる喪失論のニューウェーブ」において概観した。こうした動向と歩調を合わせて,私の愛着と喪失に関する認識も変化してきている。近年,私が着想していることを,断片的で,随想的ではあるが,着想ノートという形で,6つのテーマについて記述しておきたいと思う。今後の研究展開の萌芽となると考えられるからである。
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2011-02-28
9巻
開始ページ 33
終了ページ 38
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66605
フルテキストURL oupc_008_027.pdf
著者 山本 力|
抄録  これまで分離不安といえば乳幼児期の母子関係の現象として記述されてきた。青年期以降では分離不安は生起しないのか。生起するとしたら,どのような経験内容を持っているのか。また「分離」とはなにを意味するのか。分離不安と見捨てられ不安の違いは何か。不安の低減はいかにして可能なのか。こうした問いに対する答えを探索することを目的として,筆者の臨床経験や恋愛関係での分離不安の調査データを基礎にして,分離不安と見捨てられ不安に関する新たな見解を試行的に明らかにした。
キーワード 分離不安 見捨てられ不安 恋愛関係 簾越しの交流 内的喪失
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2010-02-15
8巻
開始ページ 27
終了ページ 34
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66603
フルテキストURL oupc_007_037.pdf
著者 山本 力|
抄録  今日の喪失論はFreud,Sの対象喪失論を超えて、大きく変貌しつつある。その代表的な旗手が米国のNeimeyer,R.である。今夏、彼が来日して講演を行ったが、それを筆者が聴講したことに触発されて、Neimeyerの悲嘆の理解と援助に対する構成主義的なアプローチについて展望したのが本論文である。構成主義の視座から見ると、モーニングワーク(喪の仕事)の中心過程は「死別後における世界の意味の再構築」にある。さらにNeimeyer理論の検討に随伴して喪失論のニューウェーブを3点にまとめた。一つは「絆」の継続、二つめは悲嘆者の主本的・個別的なワーク、三つ目は人生の物語・意味の再構築である。
キーワード 悲嘆行為 物語(ナラティブ) 意味の再構築 アイデンテイティ変容
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学大学院教育学研究科・心理教育相談室紀要
発行日 2009-03-15
7巻
開始ページ 37
終了ページ 44
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66594
フルテキストURL oupc_005_001.pdf
著者 山本 力|
抄録  喪失と悲嘆に関する関心は年々広がりつつある。わが国でも、この領域の研究もかなり蓄積されてきたが、いまだ粗放的で、全体を統合する研究は少ない。20世紀初頭フロイトの黎明期の臨床的検討以来の長い研究史をもつが、いまだ用語の定義もあいまいで、概念規定にもかなりの揺れがある。そこで、私が30年間にわたって継続してきた研究と知識をリソースとして、主要な用語を整理して、喪失と悲嘆に関する32個のキーワードの意味を明確化しよう考えた。最後に、筆者の喪失研究の文献目録も掲載した。
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学教育学部附属教育実践総合センター心理教育相談室紀要
発行日 2007-03-31
5巻
開始ページ 1
終了ページ 8
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66591
フルテキストURL oupc_004_001.pdf
著者 山本 力| 立花 明子|
抄録  本論文は友人の自死に遭遇した女性Tさんの喪失経験の事例的検討である。まずTさんへのインタビュー調査を行い、その聞き取りの内容を再構成した論文草稿を被調査者に何度かフィードバックして、妥当性を検討してもらい、協力して悲嘆経験の本質に迫るという相互的な方法を行った。そして、従来の定型的な悲嘆反応の理解の仕方とは異なり、Tさん独自の経験様式のあり方、つまり悲嘆経験の個別性に関する心理臨床的な理解を試みたものである。
キーワード 自死(自殺) 対象喪失 自己喪失 モーニングワーク 悲嘆の個別性
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学教育学部附属教育実践総合センター心理教育相談室紀要
発行日 2006-03-31
4巻
開始ページ 1
終了ページ 6
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66589
フルテキストURL oupc_003_025.pdf
著者 山本 力|
抄録  筆者は犯罪被害者カウンセラーの臨床実践を行ってきた。本論文では性暴力の被害者が被害後にどのような経験をしているかということと性暴力のカウンセリングの要点について学んだことをまとめることを目的とした。性暴力の本質は暴力と恐怖であり,その支援のためにはカウンセリングと平行して,さまざまの直接支援もオプションとして必要になる。箪者の行った様々の危機介入の経験をベースにしながら,性暴力の被害者に対する緊急カウンセリングの要点を暫定的にまとめたものである。オフィスでの個人カウンセリングが軸になっているが,臨床心理学的なコミュニティ支援の発想と方略が同時に求められる。
キーワード 性暴力 緊急カウンセリング トラウマ 刑事手続き
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学教育学部附属教育実践総合センター心理教育相談室紀要
発行日 2005-03-31
3巻
開始ページ 25
終了ページ 35
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66585
フルテキストURL oupc_002_001.pdf
著者 山本 力|
抄録  本論文では映画「最後の輝ける日々」を素材にして,臨死患者と援助者のターミナル期の臨床的課題(ワーク)を事例的に検討することを目的とした。キャリアウーマンである38歳の女性ジェーンは,末期癌の半年間を心理臨床家ウエンディに支えられ,自らの封印された過去と和解し,孤独な人生から輝ける人生へと変貌していった。またウエンディも未解決の過去と和解し,死の恐怖を乗り越えていった。二人の心のワークを分析した結果,ターミナル期における「安堵の課題」という準備的モーニングワークの遂行過程を確認し,新たに「書き直しの仕事」という概念を明細化した。
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学教育学部附属教育実践総合センター心理教育相談室紀要
発行日 2004-03-31
2巻
開始ページ 1
終了ページ 11
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/66579
フルテキストURL oupc_001_003.pdf
著者 山本 力|
出版物タイトル 心理・教育臨床の実践研究 : 岡山大学教育学部附属教育実践総合センター心理教育相談室紀要
発行日 2003-03-31
1巻
開始ページ 3
終了ページ 9
ISSN 2185-5129
言語 日本語
論文のバージョン publisher
JaLCDOI 10.18926/bgeou/51101
タイトル(別表記) The Contents and Functions of Grief Dreams after Bereavement
フルテキストURL bgeou_153_001_009.pdf
著者 山本 力| 岡田 碧|
抄録 大切な人を失った後,喪のプロセスにおいて,しばしば故人が登場する夢をみる。これを 「悲嘆夢」と称する。本論文の目的は以下の3点にある。⑴遺された人はどんな内容の夢を 見るのか⑵喪のプロセスに伴って変化が見出せるのか⑶悲嘆夢の系列で故人との絆は解消さ れるのか,継続されるのか。分析の対象となった悲嘆夢は32 人分,49 個である。これらの 夢を質的な分析方法で検討した結果,16 種の下位カテゴリーが抽出され,4種の上位カテ ゴリーにまとめられた。①喪失との直面,②別れのやり直し,③絆の結び直し,④共生の継 続,である。前の2つは「切る機能」が優位な夢であり,後の2つは「結ぶ機能」が優位な 夢である。喪のプロセスにおいて,切る機能と結ぶ機能の間を振り子のように揺れながら, 「結び直すことで切る」という逆説的な過程が進展していくことが明らかになった。
キーワード 死別 悲嘆夢 モーニングワーク
出版物タイトル 岡山大学大学院教育学研究科研究集録
発行日 2013-07-25
153巻
開始ページ 1
終了ページ 9
ISSN 1883-2423
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120005324816
JaLCDOI 10.18926/14390
タイトル(別表記) What are Viewpoints and Methods Peculiar to Clinical Practice in Education
フルテキストURL 007_165_171.pdf
著者 山本 力|
抄録 いわゆる「教育臨床」の用語は不明確な概念であり、教育臨床に携わる者の間でコンセンサスができているわけではない。本論文の狙いは、筆者のスクールカウンセラー等の教育臨床の経験をリフレクティブに省察し、教育臨床に固有の視点や関わり方を明確化しようとすることにある。明確化する際の手掛かりとして、(1)学校文化に参入した時のカルチャーショックを掘り下げて検討し、(2)伝統的なオフィスでの心理臨床の実践を照合枠として用いた。その結果、学校でのコミュニティ臨床に固有の視点や関わり方が浮かび上がってきた。オフィス臨床の基礎の上に、学校現場では新たな視点や手法を産み出し、学校コミュニティ臨床の「学」を生成してゆくことが求められる。
キーワード 教育臨床 コミュニティ臨床 (Clinical Practice in Community) オフィス臨床 (Clinical Practice in Office) 異文化ショック (Culture Shock) 学校文化への不適応 (mal-adaptation to school life)
出版物タイトル 岡山大学教育実践総合センター紀要
発行日 2007-03-10
7巻
1号
開始ページ 165
終了ページ 171
ISSN 1346-3705
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002308523
JaLCDOI 10.18926/11418
タイトル(別表記) Clinical Evaluation and Assessment in School Setting
フルテキストURL 003_155_166.pdf
著者 山本 力| 塚本 千秋| 西山 久子| 赤澤 大史|
抄録 以下の報告は、平成14年8月26日に開催された岡山大学教育学部附属教育実践総合センター研修講座の教育臨床部門の分科会「シンポジウム:教育臨床における評価・見立てについて」での報告内容をもとに、発表者がそれぞれに再構成して書き下ろしたものである。シンポジウムのコーディネーターは塚原千秋が行った。そして、まず心理臨床の視点から山本が教育臨床の見立てとは何かについて模索した見解を報告した。続いて専任スクールカウンセラーの立場から西山が米国のスクールカウンセリングをモデルにした評価の仕方を詳しい報告にした。最後に学校でのブリーフセラピーの可能性を探る教師の視点から赤沢が実践的な方法と認識を報告した。
キーワード 教育臨床 (Clinical Judgement) 評価・見立て (Assessment) 教育相談体制 (School Counseling)
出版物タイトル 岡山大学教育実践総合センター紀要
発行日 2003
3巻
1号
開始ページ 155
終了ページ 166
ISSN 1346-3705
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002313687
JaLCDOI 10.18926/11402
タイトル(別表記) A Guideline for Heiping a Child of School Refusal and his/her Parents
フルテキストURL 005_131_137.pdf
著者 山本 力|
抄録 教育臨床家が不登校の子どもの支援を行う際に「臨床的判断」の参照枠となるガイドライン試案を作成することが本論文の目的である。不登校の多様な状態像を見立てる指針として、a)登校状況からみた5型類、b)不登校の6段階の経過、c)7つの原因論、を提示した。その上で教育臨床家による不登校支援の原則を12項目にわたって列記した。教育臨床的な支援12項目は不登校の臨床実践から抽出された経験則が中心である。不登校の子どもの多様な歩みを保障する一方で、ガイドラインを参照しながら社会的自立へと向かえるように周囲が連携して支援していくことが求められる。
キーワード 不登校 (School refusal) 教育臨床家 見立て(見極め) (Assessment) 支援 (Support) ガイドライン (Guideline)
出版物タイトル 岡山大学教育実践総合センター紀要
発行日 2005
5巻
1号
開始ページ 131
終了ページ 137
ISSN 1346-3705
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002313504
JaLCDOI 10.18926/11387
タイトル(別表記) The Background and Trend of Practical Peer Support and Peer-assisted Activities :the Beginning to Current Tendency of Peer Support and Peer-assisted Activities
フルテキストURL 002_081_093.pdf
著者 西山 久子| 山本 力|
抄録 私たちの社会では、習慣的に仲間支援の手法が用いられてきたが、近年、「ピアサポート」が学校教育現場に実践的に導入され、欧米で開発されてきた技法なども紹介されて仲間関係を積極的に活用しようという動きがある。福祉の領域などでは、より積極的に仲間支援が行われ、歴史的に見ても教育・福祉等の分野で活用してきた経緯がある。そうした支援は、相談活動、葛藤調停、仲間づくり、アシスタント、学習支援、指導、助言、グループリーダーの7項目に分類される。学校で生徒がもつ仲間支援の力が十分活用するようにプログラムが構成されるとき、生徒らにとって有効なピアサポート活動が実施できる。
キーワード ピアサポート (peer-support) 仲間 (peer) ピアカウンセリング (peer-counseling) ソーシャルサポート (social support)
出版物タイトル 岡山大学教育実践総合センター紀要
発行日 2002
2巻
1号
開始ページ 81
終了ページ 93
ISSN 1346-3705
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002313981
JaLCDOI 10.18926/11377
タイトル(別表記) The Qualitative Analysis of Effective Work of Mourning by Victims' Family
フルテキストURL 004_137_145.pdf
著者 山本 力| 濱崎 碧| 玉井 千里| 山崎 芙美子|
抄録 平成13年6月8日に附属池田小学校で発生した児童殺傷事件の被害者遺族の一人である本郷由美子さんの手記『虹とひまわりの娘』を分析素材として、どんな悲嘆の対処法や社会的サポートがモーニングワークの促進に有効であるのかを探索的に探ることを研究の目的とした。加えて、「死者を殺す」というラガーシュ仮説の妥当性に関する若干の検討を行った。その結果、モーニングワークを通して親子の「絆」の結び直しがはかられ、娘に対する「愛の物語」が生成されていった過程が明らかになった。
キーワード 被害者家族 (the bereaved) モーニングワーク (mourning work) 物語 (story-making) 社会的サポート (social support) ラガーシュ仮説 (Lagache hypothesis)
出版物タイトル 岡山大学教育実践総合センター紀要
発行日 2004
4巻
1号
開始ページ 137
終了ページ 145
ISSN 1346-3705
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002313879