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ID 213
Eprint ID
213
FullText URL
Title Alternative
Studies on the Prevention of Leucocytozoon Infection of the Chicken : VII. Preventive Effects of Pyrimethamine and Sulfadimethoxine Medicated Singly or in Combination
Author
Hori, Satoshi
Toriumi, Toru
Tanabe, Akira
Abstract
ニワトリのleucocytozoon病は,わが国の養鶏界に大きな損害をあたえた.秋葉ら1),2)が1958年に,本病の病原体として,Akiba(=Leucocytozoon) caulleryiの同定をおこなって以来,多くの研究者3,4,10~14,22~24)によって,この病原虫に有効な化学療法剤を発見しようとする色々の試みがなされた. 秋葉ら(3,4)は,Pyrimethamineとある種のsulfa剤が本虫に有効であることを示唆した.しかしPyrimethamineを0.004ないし0.005%飼料中に添加した場合は高い毒性を示した.一方,Lux20)(1954)がPyrimethamineとある種のsulfa剤をEimeria tenellaの予防に便用した場合認められる相乗効果について報告して以来,Plasmodium gallinaceumについてはRollo21)(1955)により,toxoplasmosisについては,Eyles&Coleman7)(1955),Eyles&Frances8)(1955),Frenkel&Hithings9)(1957)らにより,E. tenella感染症については,Joyner&Kendall15)(1955),Kendall&Joyner16,17,18)(1956~1958)およびBall5)(1960)らによって多くの研究がおこなわれた.そこで,本研究が,ニワトリのleucocytozoon病を予防するための,pyrimethamineとsulfadimethoxineの実際的な投与方法を発見するためにおこなわれた.実験はまず,両薬剤の低濃度における単味投与についておこない,ついで,A. caulleryiの感染に対し,これらの薬剤を混合投与した場合に相乗効果があるならば,これを明らかにしようとすることを試みた.飼料中に単味または,混合して添加した薬剤の効果は,対照区および試験区について,それらが本病原虫の自然感染に,さらされた後の感染率を比較することにより,検査した.1.単味添加したpyrimethamineの予防効果表2,に示すようにpyrimethamineは,0.0001%または0.00005%というような低濃度を添加した場合でも,本病の感染を完全に予防しえたが,0.00001%添加では予防しえなかった.(Exp.I and II)この結果は,Exp.IIIによって再び確認され,また,0.000025%の濃度に添加した場合は無効であることがわかった.上述の結果から,本病からニワトリを完全に予防するための,pyrimethamineの最低有効濃度は,0.00005%であると考えられた.2.単味投与した場合のsulfadimethoxineの予防効果単味投与したsulfadimethoxineの予防効果は,表3に示すようにして試験された.これらの結果から,本剤の最低有効濃度は,0.0025%であって,0.001%では無効と判定された.3.混合投与した場合のpyrimethamineとsulfadimethoxineの予防効果表4,に示したようにpyrimethamineとsulfadimethoxineを混合投与した場合は,それぞれ0.00001%および0.00025%を使用した場合でも完全に本病を予防しえた.すなわち混合投与した場合は,pyrimethamine1/5量に,sulfadimethoxine量を1/10量に減じうることが判明した.4.DA-106の予防効果抗コクシジウム剤として,一製薬会社により試作されたDA-106を使用しての試験Exp.VIIにより,上述の結果が確認された.0.008%の割合に添加されたDA-106は,本病に対して,完全予防効果を示した.この場合,飼料中のpyrimethamineとsulfonamide(sulfadimethoxineとsulfaquinoxalineの両方)の濃度は,それぞれ,0.000016%および0.00024%であった.これら一連の試験の結果をグラフ上に点描すると,図1の通りである.本図はpyrimethamineとsulfadimethoxineがA. caulleryiに対する効果において著明な相乗効果を有することの明らかな証拠を示している.これらの混合した薬剤の,無効な濃度の詳細がえられなかったので,限界曲線(点線)は仮想的なものにすぎない.飼料中に添加した0.0001%のpyrimethamineが広く使われるようになったため,わが国における本病は,ほとんど,制圧されてしまったので,本病の自然感染に依存しているような試験は続けることが困難となっている.しかしながら,pyrimethamineとsulfadimethoxineの混合投与方法を野外でおこなうことは安全性と経済性の観点から著明な改良をもたらすものと考えられる。
Published Date
1966
Publication Title
岡山大学農学部学術報告
Publication Title Alternative
Scientific Reports of the Faculty of Agriculture Okayama University
Volume
volume28
Issue
issue1
Publisher
岡山大学農学部
Publisher Alternative
Faculty of Agriculture, Okayama University
Start Page
71
End Page
83
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029
Content Type
Departmental Bulletin Paper
language
Japanese
File Version
publisher
Refereed
False
Eprints Journal Name
srfa