日本教育における19世紀は,近世の個別教授から近代の一斉教授へと転換する世紀だった。
一斉教授は産業革命期のイギリスで助教法として開発された。助教法はドイツ教育の影響を受け,教師が教室で直接,子どもに教える一斉教授へ改善されていく。ドイツからイギリスにもたらされた学級一斉教授が19 世紀末,すなわち明治20 年代,その教授を行う場としての教室設計と小学校建築とともに,イギリスから日本に伝播した可能性がある。その地方展開の例として,岡山県の小学校建築でも学級一斉教授を行う教室設計が採用されていることを確認できる。
本稿は如上の過程について,校舎や教室の平面図などを史料に用いながら考察するものである。
研究論文 (Articles)
〔特集〕教員養成に関する教育学的研究 ([Special Section] Historical and Practical Approaches to Teacher Education and Training)