時代の変化やキャリアステージに応じて求められる資質能力を高めていくために,教師には自律的に学ぶ姿勢が求められている。本研究では,日々の教育実践を省察する多様な観点を考慮して,教師の自律的な学習姿勢の定量的把握を試みるとともに,学校組織風土との関連を実証的に検討した。現職教師への質問紙調査で収集した回答に対し因子分析を行い,教師の自律的な学習姿勢として「同僚の経験の取り入れ」,「児童生徒・保護者の視点の考慮」,「前向きな挑戦姿勢」,「自己省察」の4つの因子を抽出した。これらのうち,「同僚の経験の取り入れ」と「前向きな挑戦姿勢」が,協働的風土と正の関連,同調的風土と負の関連を示した。分析結果に基づき,「学び続ける教師」の実現への示唆を議論した。