Bulletin of Graduate School of Education, Okayama University
Published by Graduate School of Education, Okayama University

How did Educational Scholars in Japan Read Neo-Kantian? Bibliographic-Research on Shinohara Library

MIYAMOTO, Yuichi Faculty of Education, Okayama University
FUKAMI, Shohei Faculty of Education, University of Miyazaki
SATO, Takahiro Faculty of Integrated Arts and Social Sciences, Japan Women̓s University
Published Date
2023-11-24
Abstract
 本稿は,「篠原助市教育学の形成過程に関する教育学説史的研究:新カント派受容に着目して」の一環として,京都大学教育学部図書館の篠原助市・陽二文庫の書誌調査から,戦前期日本の教育学者が新カント派のテクストの「どれ」を「いつ」「どのように」読んだのかについて,篠原助市の生涯と彼の著作『教育の本質と教育学』(1930 年)に焦点を当てて検討したものである。書誌調査から,篠原助市文庫のほとんどが陽二のものであることがわかった。篠原は学校に務めていたころにナトルプの解説書から新カント派に出会ったが,本格的にこれに習熟するようになるのは京都帝国大学入学以後であることがわかった。京都帝国大学から東京高等師範学校時代はヴィンデルバント(新カント派のバーデン学派)により重点を置いた読書を重ね,その歴史哲学的指向性を受容するも,その後1923 年から1930 年までの東北帝国大学時代には,博論執筆に向けてナトルプ(マールブルク学派)を深めており,バーデン学派の思想的成熟は『本質』執筆以後の1930 年代に成し遂げられたことがわかった。篠原の『本質』における新カント派受容をナトルプに限定し,その解釈を「補完・敷衍」「憑依・同調」「当馬・対立」という類型で整理した。
Keywords
篠原助市
新カント派
ナトルプ
戦後教育学
Note
研究論文 (Articles)
ISSN
1883-2423
NCID
AA12338258
JaLCDOI