本研究は,学校教育における「医療的ケア」の提供に関する教員の意識を分析し,今後のインクルーシブ教育システムの構築に向けた課題を提起することを目的とした。小・中学校および特別支援学校の教員(n = 183)に対する質問紙調査の結果,新たな動向や情報を把握する機会が十分に確保されていなかった。また,児童生徒の疾病の多様化や医療的なニーズの高まりが感じられる一方で,医療的な配慮を要する児童生徒が通常の学校において学ぶことや,自らの関与には必ずしも積極的ではなかった。「医療的ケア」に関する知識についても多くが懐疑的な意見を示したが,必要とされる研修に対する姿勢は極めて意欲的であった。全般的に,小・中学校教員は特別支援学校教員よりも大きな困難を感じており,通常の学校における支援体制の整備が喫緊の課題となっている。「医療的ケア」を提供する上での職種間での役割範囲を明確化し,学校内外における組織的な連携体制を強化すべきことを指摘した。