本研究の目的は,分析心理学における心と身体の関連性に関する先行研究を概観したうえで,その問題点と今後の課題を明らかにすることである。分析心理学における独自の視座は共時性であり,その研究の課題は,①イメージ内容の変化,②イメージ体験の身体的側面,③面接のプロセスで生じてくる身体症状・変化,④身体的逆転移の4つの要因にまとめられた。今後の課題として,上記4つの要因が事例のプロセスを通してどのように相互連関していくのかについて明らかにすること,また心身の関連性を理解するうえで共時性という視座がどのように有効であるかを検討することが挙げられ,そのための方法としては事例研究法が最も適切であることを論じた。