今日の道徳の時間では,読み物資料の主人公の気持ちの読み取りを中心とした心情主義的
な授業の型が中心をなしている。しかし,この型においては,多角的・批判的に考えさせた
り,多様な価値観を引き出し考えを深める学習の実現については限界がある。そこで本論で
は,プラグマティズムに基づく道徳の問題解決的な学習過程を,4つの学習段階の中に8つ
の学習活動を取り入れた「8in 4課題解決システム」として構成し,その中心に思考・判
断の根拠の再構成を促進するために開発したマトリクス・メソッドという思考ツールを組み
込んだ。このシステムは,課題となる事象や資料の多面的・多角的な分析,自らの考えの根
拠のさらなる裏付けとなる情報の収集,及び当初の判断の未来の結果に対する因果の洞察を
踏まえた上での討論等によって,学習者の道徳的な思考・判断の根拠の再構成を促進するも
のである。この指導法の導入により,道徳教育の充実,及び今日の道徳教育における実践的
な課題改善への有効なアプローチが可能になると考えられる。