New York の短編小説家Lydia Davis(1947-)の“Southward Bound Reads Worstward Ho”(2007) は,Samuel Beckett(1906-89)を再話する(あるいは,再話している…再話しているんじゃないかと解釈できる)。
 文質(intensity of sentence; sentence quality)―文の質度―というものがあるとして,あるとしてだが,そして,それが作家の比較に少しでも役にたつとするならばだが…,この二人は,とても似通っている。
 そのことを,Davis の中の作家的Beckett 的要因としての類似として指摘するに終わるだけではなく,はたまた,Davis 自身のインタビューでの同様の同意を繰り返すだけでもなく,ここでは,re-edit のコンセプトを導入して,本論の試みの礎とし,‘ベケットを読む女’と
してのモチーフを展開する。
 
                        Lydia Davis
        Beckett
        “Southward Bound Reads Worstward Ho”
        Mark Doty