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ID 709
Eprint ID
709
フルテキストURL
タイトル(別表記)
The Actual Conditions and Technical Problems of Dairy Farming in Setana District, Hokkaido Prefecture
著者
河本 泰生 岡山大学
瀬尾 佳彦 岡山大学
佐藤 勝紀 岡山大学
猪 貴義 岡山大学
抄録
わが国の酪農は,多頭化の中で牛乳生産過剰,消費の停滞,生産費の高騰による負債の累積,濃厚飼料多給やその他の飼育管理技術の不確立による疾病の発生など,多くの問題をかかえている. 北海道は,わが国で最も多頭化の進んだ地域であり,草地酪農が展開されている地域である. そこで,本研究は,北海道の酪農の実態を調査し,その結果を通して酪農技術の問題点を明らかにするために行なわれた. 調査農家は,北海道の中でも比較的歴史が浅く,地域的に本州と似通った道南の瀬棚地区の酪農家で,無作為に選択された飼育規模の異なる6戸である. 調査表に基いて直接聞き取りによって調査が行なわれた. 調査農家をアルファベット順に表わすと,飼育頭数は成牛換算でA:64,B:26,C:25,D:22,E:12,F:7であった. 成牛換算1頭当りの飼料作付面積(a)はA:64,B:65,C:72,D:92,E:62F:96であった. 山林原野の酪農への利用は行なわれていなかった. F以外の5戸の農家ではサイレージ用にデントコーンを,また3農家(A,B,C)ではサイレージ用の牧草を栽培していた. 飼育形態はいずれの農家も夏期放牧,冬期舎飼いで,牛舎での管理方式はAではフリーストールバーン方式,他の5戸ではスタンチョン方式であった. 各農家とも,維持飼料と牛乳生産飼料を区別し,いわゆる「2本立て」給与法を採用していたが,基礎飼料不足により,この方法は十分には実行されていなかった. いずれの農家も多量の濃厚飼料を購入しており,濃厚飼料多給農家では繁殖障害の発生が高かった. 各農家の成牛換算年平均乳量(千㎏)は,A:5.2,B:6.6,C:5.4,D:5.1,E:3.7,F:4.8であった. 駄牛淘汰は一定の基準を設けて行なっていたが,B,C以外の農家では十分実行されていなかった. いずれの農家も,搾乳施設や牧草の栽培収穫用の機械類の大部分を所有し,高い減価償却費と,高い負債をかかえていた. Eを除き飼育規模の大きい農家ほど比較的高い純益を得ていた. 以上より,調査地区の酪農技術の問題点として,(1)飼料生産技術の不確立から生ずる良質飼料の不足,(2)飼育管理技術の低水準,(3)駄牛淘汰の不徹底,(4)過剰の設備投資による多額の負債の累積が指摘された。
発行日
1986
出版物タイトル
岡山大学農学部学術報告
出版物タイトル(別表記)
Scientific Reports of the Faculty of Agriculture Okayama University
68巻
1号
出版者
岡山大学農学部
出版者(別表記)
Faculty of Agriculture, Okayama University
開始ページ
27
終了ページ
34
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029
資料タイプ
紀要論文
言語
日本語
論文のバージョン
publisher
査読
無し
Eprints Journal Name
srfa