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ID 12367
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タイトル(別表記)
Fiscal Reconstruction and Decentralization −A Study of Current Arguments on the Broader−Based Local Government −
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著者
坂本 忠次 関西福祉大学
抄録
This paper aims to study the relation between financial reconstruction of local governments and decentralization, in connection with recent broader−based administration. Yubari City, Hokkaido failed finance since last year, and shifted to the financial reconstruction since April, 2007 as is well known. A serious crisis of the local finance was made ahead, and six local groups proposed the fiscal reform including the reform of intergovernmental relations.. At the age of Heisei in Japan, the amalgamation policy of the municipality was advanced aiming at the efficiency improvement of the local finance. In addition the regional system as the broader−based local government (Do−shu−sei) begins to be discussed. We are going to examine whether the amalgamation of municipalities and the regional system scheduled in the future can promote the decentralization process of the local administration and finance. I describe in this thesis that a careful examination such as the broader−based local governments between prefectures will be necessary for the promotion of regional system.
抄録(別言語)
周知のとおり,昨年来北海道夕張市は財政破綻し,2007年4月には,財政再建団体に移行した。同市は,約353万円の借金の返済を迫られ,租税・各種料金など住民負担の引き上げと図書館,病院など各種公共施設の閉鎖と公共料金アップによる住民サービスの切り下げに迫られた。夕張市の財政破綻の背景には,炭鉱閉山と閉山後の処理経費の負担,国と道などのリゾート政策に依拠した観光開発政策の失敗,直接的には政府の「三位一体改革」による地方交付税の削減,それに加えて人口減なども反映した市民病院経営の赤字などいくつかの要因が重なっていたと思われる。財政再建団体に指定されると勿論新規の公共投資はできない。いわば「夕張ショック」は,政府側の意見を反映する経済財政諮問委員会による“財政破綻法制”の提案となってあらわれ,一部のマスコミなどでも,全国の同様の財政状況を示している自治体運営へのいわば‘警鐘’とされ報じられてきている。なお,財政破綻法制の提案は,そのままでは実現せず,その後,後述するとおり,自治体財政健全化法として成立を見た。現下の市町村財政の危機的状況の背景には,1992年前後のバブル経済崩壊とその後の国および道府県などによる産業政策がもたらす問題,小泉元内閣のもとでの構造改革政策と特にそれがもたらしたとも言われている企業間,地域間の経済格差(個人の所得格差を含む)の拡大問題がある。そうして,2004年以来3年間にわたる政府の「三位一体」改革政策によって,国庫補助負担金の削減(約4.7兆円),地方交付税の見直し(地方交付税及び臨時財政対策債)による抑制策(約5.1兆円)が進められた。しかし,それに見合う地方財源の充足では,約3兆円余の国から地方への税源移譲の実現のみで,東京都など大都市自治体が潤ったのに比べ地方農村自治体の財源不足は著しく,しかも地方自治体側の補助金抑制などの努力に見合うだけの国からの税源移譲は見られていない。地方の事務が本来的に大きいとされているわが国の政府間の事務再配分も行われていないため,国からの補助負担金の補助率切り下げが行われても補助金による地方への各省庁からのコントロールの制度はそのまま残されており,自治体側への財源のしわ寄せはより大きくなって地方財政運営を一層苦しくさせている。つまり,これまでの「三位一体」改革は,税源移譲,事務権限の再配分の両面でいわば「未完の改革」に終わっているのであり,さらなる税源移譲と税源の偏在是正等が課題である。このような状況の中で,2006年11月地方六団体が設けた「新地方分権構想検討委員会」(神野直彦委員長)により分権型社会のビジョンの最終報告『豊かな自治と新しい国のかたちを求めて-第二期地方分権改革とその後の改革の方向』が提出された。一方,政府の方でも,2006年12月成立した地方分権改革推進法(3年間の時限立法)のもとで地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)を設け1995(平成7)年の地方分権推進法以来11年ぶりで地方分権改革案を検討し新たに進めようとしているところである。近年,当面する地方財政危機を踏まえ「平成の大合併」と言われる市町村合併政策が実施され,わが国の基礎的自治体である市区町村は2006年3月末で1821に削減され,2008年7月1日には1788に減少することが予定されている。また,政府の第28次地方制度調査会の答申(2006.2.28)をはじめ,自民党道州制調査会の第1次報告(2005.7)並びに第2次中間報告(2006.6),道州制ビジョン懇談会ほか各経済団体などを中心に市町村合併後の道州制移行問題が論議されている。この問題の将来展望は,言われているほど簡単ではなかろうが,上記の市町村合併の事後処理ならびにもし道州制に進む場合の地方行財政の分権化はどうなるのかが大きな課題とされているのである。本論文は,上記の意味で,夕張市の市財政問題に始まる地方財政ポジションの悪化と地方財政再建並びに健全化をめぐる問題,この問題とも関連したその後の広域連合や市町村合併政策の進行,それに続く将来の道州制構想といった今後予想される広域行政が,その本来の目的である地方分権を進める上でどのような課題を担っているのか,最近の広域行政論と政府間財政関係における分権化をめぐる問題についての若干の検証を行っておくことを課題としている。
出版物タイトル
岡山大学経済学会雑誌
発行日
2008-03
39巻
4号
出版者
岡山大学経済学会
出版者(別表記)
The economic association of okayama university
開始ページ
13
終了ページ
30
ISSN
03863069
NCID
AN00032897
資料タイプ
学術雑誌論文
OAI-PMH Set
岡山大学
言語
日本語
著作権者
岡山大学経済学会
論文のバージョン
publisher
NAID
Eprints Journal Name
oer