Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

作物の塩害に関する研究(VII) 第7報 小麦の塩害と金属代謝

太田 勝一 岐阜大学農学部作物学研究室
小合 龍夫 岡山大学
笹井 一男 岡山大学
発行日
1954
抄録
小麦の塩害と金属代謝との関係について実験を行い次の結果を得た.尚分析は発光分光分析に従い,その地上部のFe,B,Si,P,Mn,Mg,Ca,Cu,Na,K等の含量を求め,特にNaに於ては葉位別,茎の節位別及び穂の各部に於ける含量を測定し,その分布を観察した. 1)NaClの添加と共に,地上部Na量は著しく増大し,Kは僅かに増大し,他の元素はすべて減少の傾向が見られた. 2)作物体内のNa含量の分布は茎に最も多く,葉は之に次ぎ,穂は最も少かつた.然して茎の節位別の分布には差が認められなかつたが,葉では中位葉が上位葉,下位葉に比し僅かに少かつた. 3)本実験結果から推察すると,所謂塩害なる事実は全塩類の高濃度に於ける複合的作用と,之に起因する二次,三次的の影響が綜括せられたものであろう。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029