Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

水稲の散播に関する研究 (第1報)散播方式における水稲品種の生態的比較

赤松 誠一 岡山大学
発行日
1964
抄録
数品種の水稲を散播し,その生態的研究を行なった.1963年岡山大学農学部附属農場水田において,1区18m2ずつ任意配列で5品種4回反覆試験をおこなった.播種量は350g~400g/a.とし,播種は5月26日におこなった.除草薬はDCPAを用い,その他の管理は慣行に従った.その結果は次の通りである.(1)散播における水稲草丈は各品種とも移植より短かくなる傾向が認められた.また出穂期,登熟期は移植より早くなった.(2)穂長,穂重及びワラ重では,移植>散播となり,また単位面積当穂数では移植<散播の関係が見られた.(3)散播は移植より一般に収量が容易に増収できる.その理由は散播の場合1穂粒数は少ないけれども穂数が圧倒的に多く確保できること及び稔実歩合の高いことに起因することが判明した.(4)散播に望ましい形質を有する品種としては短稈,多ケソ性,中生あるいは早生の品種が好ましく,本試験の範囲内においては,クサブエは大体良好と言い得る.ホーヨク,PI5号の両品種は適切な管理を行うことにより,有望品種と推定される.これに反しキビヨシは比較的増収を得たが,形質的に散播には望ましくない。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029