グアレスキの『ドン・カミッロ』は、戦後間もないヨーロッパで多くの人々に受け入れられた。作品の底流にはキリスト教に裏付けされた筆者の道徳観があった。そこでまず、イタリアが1700年間守ってきたローマ教会の歴史と意義をまとめてみた。1900年代初頭には、労働者の組合運動が共産主義を生んだが、一方でこれに脅威を覚える保守勢力がムッソリーニ率いるファシスト党を支持する流れとなり、世界戦争へと発展していく。この怒涛の時代にグアレスキは生まれ育った。戦後の混乱期の中、彼はポー河流域の小さな町で起こる様々な事件をほのぼのと描いた。