本研究は,地域社会とグローバルをつなぐ和楽器音楽次世代育成の実践研究の一環として実施した「おかやま国際和楽器学生フェスティバル」について,「異文化間能力」育成の視点からその可能性について検討したものである。
国内の学生については,①和楽器を介した繋がり/音楽的な協働,②演奏の質に関する違いの認識,③ 海外の和楽器演奏者に対する認識の3点が,海外の学生については,①表現スタイルや技術に関する違いの認識,②和楽器音楽の本質の理解,③演奏者としての学びと成長に対する意識の3点が,特徴として示された。「異文化間能力」の視点からは,国内外共に「文化的多様性」と「絶対的正統性の緩和」についての認識が認められ,柔軟で且つ寛容な和楽器との向き合い方が形成されていたことが明らかとなった。また「共感・協働のスキル」については,特に国内の学生に多く認められる結果となった。