合唱のウォームアップについて,体育科の「体ほぐし」の視点から考察を行った。基礎と
なる「野口体操」を概観した結果,「ゆるめる」・「ほぐす」・「身体感覚を拓く」ことが重要
であることがわかった。次に,体育科の視点から目的や実践方法について考察した結果,「体
ほぐしの運動」は,「体」とともに「心」をほぐし,解放することを目指している活動であ
ることがわかった。また,体育科の「体ほぐし」の実践例は,その目的と効果を考慮すると
そのまま合唱のウォームアップに活用できることがわかった。岡山大学でのウォームアップ
の実践に対する意識調査では,体ほぐしのウォームアップは各自取り組みやすいことがわ
かった一方,発声のウォームアップについては,声の変化の判断が難しく,取り組みにくい
が,効果はあると認識していると推察できた。このことは,教師の専門的な支援がより必要
であることも示唆している。