Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Altered Metabolism in Lactose-negative Mutants of Lactobacillus casei by Conjugation

Morita, Hidetoshi
Nishioka, Kohshi
Kataoka, Kei
Published Date
1992
Abstract
ラクトース非発酵性Lactobacillus caseiはラクトース発酵能を欠くために,牛乳培地では酸生成がみられず,乳業用乳酸菌として応用する場合,ラタトース発酵性をこの菌株に付与する必要がある.そこで,Lactobacillus casei subsp. caseiのラクトース非発酵性(Lac-株である.34143S(ストレプトマイシン耐性,Strr)および34143P(ペニシリン耐性,Penr)株を分離し,それらを受容菌として液体培地中や寒天培地上での接合法によって,Lac+交配菌の作出を検討した.その結果,受容菌と供与菌Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus7235との交配で得られたLac+StrrやLac+Penrの交配菌,Lactobacillus rhamnosus IFO3245とのLac+StrrやLac+Penr株およびStreptococcus salivarius subsp. Thermophilus 18235とのLac+Penr株を3回の繰り返し試験で再現性高く得ることができた.それらの接合頻度は,供与菌当たり,1.1×10-5から1.6×10-2の範囲であり,比較的高い頻度でLac+交配菌の得られる組合せもあった. 得られた交配菌はほとんどが脱脂乳を凝固し,ラクトース発酵性は安定であった.また交配菌の糖類発酵性やその他の性状試験から,受容菌と供与菌にない性質を発現した交配菌や受容菌のもつ性質の一部を欠落した交配菌もあった.しかし形態はいずれも受容菌と同一であった.これらのラクトース発酵性交配菌の出現は,自然突然変異,形質導入および形質転換によるものではなく,受容菌と供与菌の細胞接合によりラクトース発酵性が発現したものと考えられた.またこのラクトース発酵性の発現は,プラスミドの伝達によるものではないと思われた.しかし詳細については今後さらに検討する必要がある。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029