1. 日本薄荷×M. rotumdifoliaのF1は外部形態的に日本薄荷に近い.又茎葉の香気,繁殖茎の性状等も日本薄荷と変らない.併し花序の形,開花期等若干の形質は両親の中間であつた. 2. F1は葯が退化し,葯中には稔性花粉を含まない.又放任受精の場合殆んど種子を着けない. 3. PMCのMIにおいて,M, rotundiofliaでは12II,日本薄荷では48II,が観察される.F1の体細胞染色体数はその和の60に等しい. 4. F1のPMCのMIにおける2価染色体の出現頻度は2~10で,モードは6,残りはすべて1価染色体であつた.従つて当然花粉4分子形成の際にも,染色体の分配に異常が起り,正常4分子の出現率は6%に過ぎなかつた. 5.12個を薄荷属の基本染色体数とするならば,F1は4ゲノムを日本薄荷から,又1ゲノムをM. rotundifoliaから受けている.このF1のPMCのMIに2乃至10個の2価染色体の出現することは日本薄荷は異質倍数体であり,従つてこれら2価染色体は異親接合と考えられるから)両親間に,1部分相同ゲノムのあることを意味し,M. rotundifoliaの祖先は日本薄荷の祖先の一つであるとの推定を可能ならしめる。