モモ果実における渋味の発生要因ならびにその防止策を確立するための基礎資料を得ることを目的として,果樹園,樹体ならびに果実によるポリフェノール含量の違いを調査した.また,ポリフェノール含量の果実内での部位による違い,ならびにポリフェノール含量に及ぼす袋掛けの影響について調査した.成熟果実のポリフェノール含量は果実間や樹体間よりも果樹園間での差が大きかった.全フェノール含量と屈折計示度および高分子フェノール含量との間に各々1%レベルで正の相関が認められた.ポリフェノール含量は果皮で最も多く,果底部と縫合線部がこれに次ぎ,果肉中央部で最も少なかった,また,ポリフェノール含量は有袋果よりも無袋果で多かった.これらの結果をもとに,モモ果実の渋味発生と栽培条件との関係ならびにフェノール化合物の生成や蓄積について考察した。