本報では,開発農地に貯留関数モデルの適用を試みた結果,次のような知見を得た. 1)貯留関数モデルは流出計算が簡単であり,表面流モデルと同様に実測ハイドログラフを良く再現できるので,実用上開発農地の流出解析に十分利用できる. 2)貯留関数モデルの定数Pは,実用上0.6とおくことができる.モデル定数Kは,畦のない場合にK=0.66,縦畦がある場合にK=0.45(いずれもmm-h単位)となっている.他方,遅れ時間Tiは雨量データの単位時間△t=10分より小さく,実用上Ti=0とみなせる. 3)表面流モデルの等価粗度Nの値,または洪水到達時間式の定数Cの値から,貯留関数モデルの定数Kの概略値を求めることができた.したがって,新たな流域に貯留関数モデルを用いる場合にこのような考え方を適用すれば,定数Kの概略値の推定が可能である.ただし,本研究流域のような小面積の開発農地流域においては,NやCの値は土地改良事業計画設計基準排水編に示された基準値よりも小さい値をとることが報告されているので注意を要する。