縮果障害の発生率は年度,作型,樹によって大きく変動した.しかし,発生時期は概して一定しており,果実発育の第Ⅱ期であった.第Ⅱ期の始め(開花後35~45日)ころには,“シミ”と呼ばれる症状が,第II期の終わり(開花後50~55日)ころには“縮果”と呼ばれる症状が多発した.なお,縮果障害は“日焼け”や人為的な外傷によって発生する障害ではなかった. 症状の特徴と発日射達経過は次のようであった.“シミ”は果房及び果粒における発生部位が一定しない.症状は比較的小さく,あまり進展しないため実害はさほど大きくない.“縮果”は多発した場合,果房の肩部(基部よりの部分)の特定の支梗に集中してみられることが多い.粟粒上では基部に発現する.“縮果”の症状は比較的大きく実害も大きい.“縮果”には症状が急速に進展する“日射型”と,そうでない“縮果型”とがある.“日射型”症状の果粒は,うだったように褐変し,まもなく脱粒する.“縮果型”症状の果粒では,障害を受けた部分は褐変し果皮が大きく陥没するが,症状はあまり進展せず,脱粒せず,健全部分は成熟する.一般には,このような典型的な症状よりも併発型の症状を示すことが多く,両者の厳密な区分は困難である。