Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

昆虫の繁殖能力・殺虫剤抵抗力の季節的消長に関する実験的研究

Kiyoku, Masao
Tsukuda, Ritsuko
Abstract
年内に数回発生を繰り返えす昆虫の繁殖能力とマラソン抵抗力の季節的消長の型と消長の原因を調べるために実験室内にて3カ年連続で1対飼育したアズキゾウムシCallosobruchus chinensisの実験個体群からの任意標本を分析した.1.繁殖能力(Bp)は1化期(5月)と6化期(10月)には低く,2化期(6月)と4化期(8月・9月)にそれぞれ山を示す.この年内における変動を定温の標準飼育区のそれと比較した結果.上記の変動は季節の推移に伴い変化する総合環境に依存するものと考え,それ(Bp)と環境抵抗(W)との間に負の一次式Bp-21.555-14.495Wの関係を認めることができた.2.マラソン抵抗力の指標LC-50の季節的変動は季節の推移に伴い化期の進行にしたがつてさほど大きくはないが一方的に増加を示す.しかし定温標準飼育区のそれも,大体この変動に似ているので前者の変動を季節の推移に伴い変化した環境に依存する変動であるというように簡単に処理ができない.これに対し抵抗性変異の巾を示す標準偏差Sの変動は大体一直線的に減少をするが,それは定温標準飼育区のそれと大分趣が異なるので前者の変動を,いわゆる季節的変化として認めることができる.3.LC-50とSの変動を総合して年内におけるマラソン抵抗の季節的消長は比較的広い変異の巾をもつ昆虫集団が季節の推移に伴い,化期をかえるにしたがい次第に抵抗のレベルが強い方へそろつた比較的変異の巾の狭い集団に移行するという形式のものであると定義した.4.かようなマラソン抵抗の季節的消長の原因は昆虫集団の一定レベル以下の抵抗を有する各個体の「Vigor tolerance」がより一層増大する結果,全体として集団の抵抗性が高まることに帰因するものと考えた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029