Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

Seasonal Variation in Photosynthetic Rate of Campbell Early Grape in the Paddy Field Region

Honda, Noboru
Okazaki, Mitsuyoshi
Published Date
1962
Abstract
1).キャンベル・アーリーで収穫期前後にわたる早期落葉の甚だしい岡山県南部水田地帯にある岡山大学農学部の葡萄園で,結果枝上の葉について,1957~1961年にわたつて,光合成能力の季節的推移について調査した.本品種の硬核期は大体7月上~中旬で,収穫期は8月中旬である.2).測定方法は自然状態の葉の葉片打抜法により,光合成能力は葉面積1m2当り,午前9時~午後3時の間の平1時均間当りの乾物増加量(mg)にて表示した.3),1961年の6月中旬,7月中旬,8月中旬,8月下旬,9月中旬,9月下旬および10月中旬における光合成能力はそれぞれ616.9,464.9,192.3,304.1,740.5,553.5および534.6mgである.すなわち6月及び9月に較べて7月中旬から,とくに8月上中旬頃の光合成能力低下が甚だしい.この現象は1958,1960年においても同様に顕著である.4).1959年には燐酸肥料以外は元肥が施用されず,とくに7月上旬の測定日(3回)のうちの1日が曇天のためか,同期の光合成能が極めて低い.7月中旬に窒素及び加里の年間施用量全量が施用されたためか,7月下旬以後10月中旬まで光合成能が例年に比し異常に大である.然し8月中の降雨状態が比較的良かつたにもかゝわらず8月中旬の光合成能の低下は認めざるをえない.5).個々の測定値について検討すると,これら光合成能低下の原因のうち,降水量,土壌水分含量等の過不足,日照状況などの影響を見のがすことはできない.6).葉中含水率(対生体重%)が葉令とともに減少する傾向はあるが,光合成能と含水率との間に相関は見られなかつた.7).本梢葉の間では葉令の差による光合成能力に差が認められない.たゞし副梢葉は8月頃には本梢葉よりも光合成能に大差がないが,9~10月頃には同程度又はそれ以上の能力を示している。
Keywords
キヤンベル種葡萄
光合成能
岡山県南部水田地帯
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029