「共生(symbiosis)」という言葉が新たに着目されるようになってきた。しかし明確な定義があるわけではない。ただし、現在は社会の中で「共生」という言葉がいろいろなところで用いられる。たとえば、個人と個人との共生、個人と組織(代表的には企業)との共生、組織と組織(企業と企業)との共生、国家と国家との共生、民族と民族との共生などさまざまである。本稿は企業の「共生」問題を中国に進出した日系企業の活動を通して論じる。研究対象は当然、中国に進出した日系企業であり、研究の方法は暫定的に企業の「共生」のフレームワークを仮定し、それに基づいて現時点で中国に進出した日系企業が「共生」活動をどのように考え、そしてどのように実施しているかを明らかにする。「共生」活動のデータはわれわれが2005年10月に実施した中国藩陽市に進出している日系企業に対するインタビュー調査において収集したものである。