高等教育の質保証時代において,各大学のアカウンタビリティー(説明責任)とアウトカム(成果)が求められている。本研究では,アウトプットに学習と情緒の両側面を組み込んだ分析モデルに基づいて質問紙調査を行い,学習成果とストレインの要因分析を行った。分析の結果,<学習成果>の因子である「汎用的能力」と「知識・技能」では規定要因が異なること,学習成果は大学入学後の早い時期から分化していることが明らかになり,その背景にはディスポジション(disposition)があると示唆される。また,<ストレイン>の因子である「不快・未充足」と「緊張・心配」には,現在の悩みごとだけではなく,キャリア形成科目の履修が有意な影響を及ぼしていることが明らかになった。