本研究は,読みの基礎学力向上を課題としていた小学校において,通常の学級に在籍する1年生31 名を対象に,多層指導モデル(MIM)を用いた指導の有効性を検討した。有効性の評価については,特殊音節の読みに関するアセスメント(MIM-PM)の得点,子どもと教員に対するアンケート結果から評価した。その結果,MIM-PMにおけるクラス得点の増加,子どもの読みに対する意識の変化,教員によるMIMの効果に対する肯定的な回答が示され,先行研究で示された有効性を支持する結果となった。MIM-PM得点が低い児童(3rd ステージ群)においては,小集団による補足的な指導を実施した結果,一定の効果が認められた。しかし,学年末においてもMIM-PM得点が低い群の児童が多く残ったことから,低得点群に対する効果的な指導方法の検討を検討することが,今後の課題となった。