本研究は,政治や選挙に対する若者の関心を高め,積極的に社会に関わろうとする自覚や態度を育てることを目的とした主権者教育のあり方を,まちづくりをテーマとするワークショップの開発・実践を通して提案しようとするものである。具体的には,地方都市への大型商業施設進出の問題を取り上げ,その問題の解決策を考えることを通して,地域住民の意思や地域社会の将来について考え,自分なりの考えを形成する主権者教育プログラムを開発した。プログラムにおいては,参加者の主体性を尊重しながらも積極的な参加を促すために,ロールプレイングを手法として取り入れた。本研究を通して,投票への関心や意欲の喚起に焦点化された主権者教育に注目が集まる中で,社会や政治に対する関心を高めるという長期的な視野に立った教育プログラムを提案することができた。