本研究では,A 市B 中学校区の小中学校が連携し,小学6年時から中学1年時にわたっ
て心理教育“サクセスフル・セルフ2010”を継続して実践し,その効果に関する検討を行っ
た。対象は,B 中学校区の3つの小学校のいずれかで,本プログラムに参加した小学6年生
112名である。小学6年時,翌年中学1年時にプログラムを実施し,小学6年時の介入前後,
中学1年時の介入後の3回,心理行動上の問題や適応に関する自記式調査による評価を行っ
た。その結果,対人暴力,いじめ,衝動性・攻撃性の継続的な減少,学校社会への適応や友
達からの悪い誘いを断る自己効力感の継続的な増加が示された。以上より,小中学校が連携
し継続してサクセスフルセルフ®に取り組むことは,児童生徒の心理行動上の問題を予防し,
心の健康を向上する取り組みになり得ることが示唆された。