本稿では,1879年師範学校設置法の成立過程について,上院における審議の後半部分をとりあげ,概要をまとめるとともに,とくに改革立案・推進主体の言説の特徴を考察した。具体的には,①法案反対論の演説,②法案を支持する公教育大臣の演説,③逐条審議における修正案の内容と提案理由の内容,の3点について概要を示し,それぞれの特徴を検討した。②のジュール・フェリーの演説からは,師範学校の教育の特質を「教授法の教育」「附属学校」での実習を中核とする「教育学的教育」の充実に置いたもので,改革立案・推進主体の構想を具体的に示すものであったことが,あきらかとなった。これらの論議の後,本法案は上院においては修正されることなく可決され,これをもって1879年師範学校設置法は法制的に成立したのであった。