岡山医学会
Acta Medica Okayama
0030-1558
72
5-7
1960
電気刺戟(in vitro)の脳物質代謝におよぼす影響 第1編 電気刺戟(in vitro)の大脳組織呼吸におよぼす影響
1445
1453
EN
Hisashi
Kumashiro
1) K. R. P.溶液中のダイコクネズミ大脳皮質切片及びホモジネートにin vitro電気刺戟を加え,ブドウ糖及びグルタミン酸基質における組織呼吸を調べた. 2) ブドウ糖基質ホモジネートでは,電気刺戟によつて,その呼吸は70%近く促進された. 3) 大脳皮質切片の電気刺戟による呼吸促進率は, 12mMブドウ糖基質では平均463%, M50グルタミン酸基質では平均270%であつた. 4) 尚,グルタミン酸基質の場合,切片の小さい方が呼吸促進率は大のようであつた. 5) 又,基質なしでも電気刺戟によつて相当の呼吸促進がみられた. 6) ブドウ糖基質大脳皮質切片に, Augospelによる電気刺戟を加えた場合の呼吸促進率は244%であつた.
No potential conflict of interest relevant to this article was reported.
岡山医学会
Acta Medica Okayama
0030-1558
72
5-7
1960
電気刺戟(in vitro)の脳物質代謝におよぼす影響 第2編 電気刺戟(in vitro)の大脳窒素代謝におよぼす影響
1455
1461
EN
Hisashi
Kumashiro
ダイコクネズミ大脳ホモジネート及び,大脳皮質切片に, in vitroで電気刺戟を加え,アンモニヤ発生に及ぼす影響をみた.その結果,ホモジネートでは,アンモニヤ発生の増加をみ,切片では,アンモエヤ発生の減少がみられた.所が切片では同時にグルタミン生成の促進もみられた. 従つて切片の場合のアンモニヤ発生の減少と云うのは,実は生成されるアンモニヤが,グルタミンとしてとらえられる事によるのではないかと推論した.従つて電気刺戟(in vitro)は大脳皮質切片のグルタミン合成系を促進すると云うことになる. このことは更に,アンモニウムイオンとグルタミン酸ソーダを基質とした実験においても確かめられた. 又,α-Keto glntaric acidとNH4Clからのグルタミン酸生成系に通電しても,これを促進せしめるようであつた.
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岡山医学会
Acta Medica Okayama
0030-1558
72
5-7
1960
電気刺戟(in vitro)の脳物質代謝におよぼす影響 第3編 電気刺戟(in vitro)の大脳トランスアミネーションにおよぼす影響
1463
1469
EN
Hisashi
Kumashiro
1) ダイコクネズミ,タイワンザル,ヒト脳の大脳ホモジネートおよび大脳皮質切片を用いて電気刺戟(in vitro)のトランスアミネーションにおよぼす影響をみた. 2) ダイコクネズミ大脳においてはAsGT活性は電気刺戟によつてホモジネートでは14.6%切片では9.6%阻害された.すなわちホモジネートの方が切片より阻害率は著明なようであつた.またAIGT活性は電気刺戟によつてホモジネート,切片とも著変なく,γAGT活性は電気刺戟によつてホモジネート,切片とも阻害傾向を示した.そこでAIGTは酵素系が異なるためではないかと推論した.また反応率はいづれの場合も切片の方がホモジネートより減少していた. 3) タイワンザル大脳皮質ホモジネートにおいてはAsGT活性は電気刺戟によつて平均約11%阻害された.またヒト健常大脳皮質切片においてはAsGT活性は電気刺戟によつて平均約11.3%の促進をみ,ヒト萎縮大脳皮質ホモジネートにおいては殆ど変化をみなかつた.また反応率を比較するとヒト健常大脳皮質切片ではダイコクネズミの切片の場合に比し対照時,刺戟時ともに約20%高く,ヒト萎縮大脳皮質ホモジネートではダイコクネズミのそれに比しやや低い値を示した.すなわち萎縮脳のAsGT活性の低下が考えられる.
No potential conflict of interest relevant to this article was reported.
岡山医学会
Acta Medica Okayama
0030-1558
72
5-7
1960
電気刺戟(in vitro)の脳物質代謝におよぼす影響 第4編 電気刺戟(in vifro)の大脳アミノ窒素におよぼす影響
1471
1477
EN
Hisashi
Kumashiro
1) ダイコクネズミ大脳皮質切片を好気的および嫌気的条件下でインクブイトし.それぞれについて基質なく.およびブドウ糖基質のもとの電気刺戟時の浮游液中のアミノ窒素量をニンヒドリン改良法により測定した. 2) 好気的で基質のない場合はインクベイト60分. 120分においてアミノ窒素は電気刺戟によつて減少傾向を示し.ブドウ糖基質の場合は.電気刺戟を加えない対照値のアミノ窒素がすでに著明な低値を示し,特異的であり.これに電気刺戟を加えると逆にアミノ窒素は増加傾向を示した. 3) 嫌気的では基質なし.およびブドウ糖基質.いづれも60分後においてアミノ窒素は電気刺戟によつて多少の減少傾向を示した. 4) 電気刺戟を加えない対照値アミノ窒素は嫌気的.および好気的基質なしの条件下では大体同様の時間的経過を示し. 30分値より60分値の方が増加していた.そしてこの時間的増加傾向は好気的.ブドウ糖基質の条件下では抑制された.
No potential conflict of interest relevant to this article was reported.