Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

β-Carotene及びホウレンソウカロテノイドのラットにおける吸収と蓄積

高木 茂明 岡山大学
佐藤 美郎 岡山大学
木村 吉伸 岡山大学 Kaken ID publons researchmap
発行日
1991
抄録
植物性食品に広く含まれるカロテノイドのうち,β-caroteneなどはプロビタミンA効果以外に抗ガン,抗酸化防止効果などが注目されているが,カロテノイドの消化・吸収機構及び体内分布に関する基礎的知見は少ない,カロテノイド非蓄積動物と呼ばれるラットについてβ-carotene単独投与及びホウレンソウカロテノイドとを投与し,それぞれにおける各カロテノイドの吸収挙動と吸収カロテノイド及び生成retinolの体内存在状態を調べた.β-caroteneは単独に投与すると約50%の吸収率となるが,xanthophyll共存下では数%にまで低下する.これはβ-caroteneの吸収をxanthophyllが妨害していることを示す.β-caroteneは肝臓にもっとも多く蓄積されneoxanthinがこれを次いでいる.もっとも多く吸収されたluteinは肝臓にはほとんど検出されず,血液中に少量存在していた.このような両カロテノイドの挙動はカロテノイド非蓄積動物に特徴的なものと考えられる.カロテノイドを含まない飼料を投与すると一時的にretinolの血中濃度は上昇し,肝濃度は低下するが,カロテノイドを投与すると恒常的血中retinol濃度に速やかに戻る.β-carotene及びホウレンソウカロテノイドを25日間投与したときのretinolの正味増加量はそれぞれ474μgと522μgであるが血中のretinolレベルはほとんど変化していない.このことは肝に充分量のretinol存在しておれば血中retinolレベルはほぼ一定に保たれる制御作用のあることを示している。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029