Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

近親交配が日本ウズラの孵化所要日数に及ぼす影響

佐藤 勝紀 岡山大学
山本 敏幸 岡山大学
伊東 伸一 岡山大学
小林 英文 岡山大学
猪 貴義 岡山大学
発行日
1983
抄録
本研究は,近親交配が日本ウズラの孵化所要日数に及ぼす影響について検討した. 本研究に用いた日本ウズラは,当研究室において無作為交配によって維持した閉鎖集団を起源とする近交群と無作為交配群である. 孵化所要日数は艀卯後16,17,18,19日目までの4日間に孵化したヒナの平均孵化所要日数で示した. 得られた結果は要約すると以下の通りである. 1.近交群と無作為交配群における孵化所要日数について比較した結果,近交群では孵化所要日数の遅れがみられ,両群間にはすべての世代で有意差が認められた. 2.近交群と無作為交配群における孵化所要日数とその出現率について検討した結果,近交群では無作為交配群に比較して,孵化所要日数の短かいヒナの出現率は少なく,一方孵化所要日数の遅いヒナの出現率は高かった. 3.孵化所要日数の退化現象について回帰の面から検討した結果,孵化所要日数は退化の傾向がみられた. 近交係数10%増加するごとに,0.07日(1.7時間)遅延することが示された. 4.以上の結果から,近交による孵化所要日数の遅延ならびに近交に伴う孵化所要日数の遅延はホモ接合体の増加に伴う胚の発育遅延と活力低下に起因したものと考えられた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029