Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

近親交配が日本ウズラの産卵率に及ぼす影響

佐藤 勝紀 岡山大学
山本 敏幸 岡山大学
伊東 伸一 岡山大学
小林 英文 岡山大学
猪 貴義 岡山大学
発行日
1983
抄録
本研究は,近交退化現象を明らかにする目的で,日本ウズラを用い,きょうだい交配によって近交世代を進めた場合の産卵率について近交群と無作為交配群とで比較検討した. 本研究に用いた日本ウズラは,当研究室において無作為交配によって維持した閉鎖集団を起源とする近交群と無作為交配群である. 産卵率は連続32日間にわたって検討した. 得られた結果は要約すると以下の通りである. 1.近交群と無作為交配群における産卵率について比較した結果,近交群では2世代目で急激な低下がみられ,4世代目まで低い値が維持された. 両群間には1世代目を除くすべての世代で有意差が認められた. 2.近交群と無作為交配群における産卵率の範囲と産卵率の範囲に含まれる維持家系数について検討した結果,近交群では無作為交配群に比較して,産卵率の高い家系数は少なくなり,一方,産卵率の低い家系数は多くなった. 3.産卵率の退化現象について回帰の面から検討した結果,産卵率は退化の傾向がみられた. 近交係数10%増加するごとに,3.80%低下することが示された. 4.以上の結果から,近交による産卵率の低下は,ホモ接合体の増加に伴う雌ウズラでの生殖機能の低下に起因したものと考えられる。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029