繊維状ダイズたんぱく質(TSP)のテクスチャーを残しながら消化性改善を行う目的で2種のProteaseによる前処理を試み,そのときのテクスチャー変化とin vitroにおける消化性を測定し,それらの結果から所期目的に合致する前処理条件を検討した. Protease I(Cigma,from papaya)処理たんぱく試料は消化初速度が未処理とくらべて劣っているが,これはこのProteaseの酵素活性が大きいこと以外にTSPへの作用部位が,ペプシンのそれに類似しているためと考えることが出来る. 最終消化率は末処理区の10~30% 増となっている. Protease II(Kyowa,from Streptomyces)は比較的温和な水解を行い,それによる処理TSPの消化速度がProtease Iよりも大きいことから,消化酵素と基質特異性を異にするProteaseであると考えられる. また最終消化率はProtease Iとほゞ同じである. したがって前処理酵素として比較的望ましいものであり,その処理条件として0.075% Proteasen Iによる4℃,7日間処理が挙げられる。