Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

サイレージの化学成分と品質に関する研究 (第15報)凍結乾燥によるサイレージの乾物定量法の改善

内田 仙二 岡山大学
発行日
1978
抄録
本実験はサイレージの乾物含量をより正しく測定する方法を知る目的で,凍結乾燥法について検討したものである. すなわち種類および品質の異なる50点のサイレージを供用し,凍結乾燥法,加熱乾燥法およびトルエン蒸留法によって,それぞれ乾物定量をおこない定量値を比較検討した. さらに凍結乾燥法および加熱乾燥法で乾燥したサイレージ中の揮発性脂肪酸とアンモニアを定量し乾燥過程中での損失の程度を調べた. 実験結果の要約は次のようである. (1)乾物定量値の平均および標準偏差はそれぞれ凍結乾燥法21.84±6.55%,加熱乾燥法19.64±6.29%,そしてトルエン蒸留法21.92±6.19%であった. しかして,凍結乾燥法による定量値と加熱乾燥法による定量値との間に有意差が認められ,凍結乾燥法による定量値とトルエン蒸留法による定量値との間に有意差は認められなかった. (2)凍結乾燥法と加熱乾燥法によって乾燥したサイレージ中の揮発性脂肪酸ならびにアンモニアの含量は,いずれも凍結乾燥法で乾燥した場合に高い値を示した. 本実験の結果より,凍結乾燥法はサイレージの乾物含量をより正しく定量する手段として有用であることが認められた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029