Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

寒冷衝撃山羊精子の呼吸依存性カルシウム輸送

沖増 英治 岡山大学
内海 恭三 岡山大学
湯原 正高 岡山大学
発行日
1978
抄録
寒冷衝撃による山羊精子の原形質膜の損傷は,ひいては原形質膜のイオン選択透過性の低下をもたらしているものと考えられる. そこで,本研究は寒冷衝撃不動化山羊精子の原形質膜の損傷を,Ca2+依存性酸素消費の亢進を測ることによって明らかにしようとした. 1.NaF不動化精子と正常精子の酸素消費量は,添加Ca2+によって影響されなかった. また,DNP添加によって脱共役効果が認められた. 2.寒冷衝撃を施した不動化精子の酸素消費量は,添加Ca2+の添加量(1mM以下)に応じて段階的に亢進された. また,その酸素消費量の亢進,すなわち,Ca2+の取り込みはDNPによってわずかに阻害された. 高濃度(1mM以上)の添加Ca2+は阻害的に作用した. 3.寒冷衝撃時に卵黄物質が存在することにより,その酸素消費量はCa2+添加によって影響されなかった. 寒冷衝撃は,山羊精子における添加Ca2+依存性酸素消費量の亢進を示し,このことは原形質膜でのCa2+の選択透過性の低下をもたらしているものと思われた. また,寒冷衝撃時の卵黄物質の存在によって,原形質膜の機能低下が防がれることが推察された。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029