Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

サイレージの化学的成分と品質に関する研究 (第13報)サイレージの発酵的品質がヒツジの窒素利用性におよぼす影響

林 弘明 岡山大学
内田 仙二 岡山大学
堀米 隆男 岡山大学
発行日
1977
抄録
サイレージの発酵的品質と窒素成分の飼料価値との関係を知るために,添加物の利用によって同一材料草から発酵的品質の異なる製品を調製し,ヒツジによる飼養試験を実施して,窒素の消化率および窒素蓄積率を調査した. サイレージは,開花初期に収穫し,2cmに細切したイタリアンライグラスを材料に用い,鉄製実験サイロに,無添加対照(A区),ギ酸0.4%添加(B区)ならびにブドウ糖1%添加(C区)の区分でそれぞれ調製した. 実験結果の要約は次のようである. (1)でき上がったサイレージの品質評点はA区40点(4級),B区69点(2級),C区50点(3級)であった. (2)サイレージ中の窒素の形態別分布を調査した結果,全窒素に対するタンパク態窒素の比率はA区51,B区57,C区52(%)であり,α-alanineとして定量したアミノ態窒素の比率はA区22,B区36,C区38(%)であった. いっぽう,アンモニア態窒素の比率はA区16,B区10,C区11(%)であった. (3)ヒツジによる飼養試験の結果,窒素の消化率はA区60.5,B区65.5,C区66.6(%)であり,窒素の蓄積率はA区-14.0,B区8.0,C区11.6(%)であった. (4)サイレージ摂取後のヒツジ第一胃内液のアンモニア態窒素の濃度は,サイレージの中のアンモニア水準が高い場合に高くなる傾向を示した. これらの結果を,サイレージのサイロ内醗酵の状態が,その窒素成分の飼料価値に反映することを示すものである。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029