Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

プリンおよびピリミジン塩基を給与したラットの尿中窒素化合物について

堀米 隆男 岡山大学
高須賀 一彦 福岡市役所
大川 幸代 宮崎医科大学生化学教室
発行日
1977
抄録
ラットにプリン塩基およびピリミジン塩基を経口給与し尿中の窒素化合物をしらべ次の結果を得た. 遊離のアデニンおよびグアニンを与えた場合,尿中に排出される窒素は尿素アンモニア態のものがアラントイン態よりも多かったが,AMPをアデニン相等量給与した場合はアラントイン態のものが尿素,アンモニア態より多かった. ウラシル,シトシンを多量経口給与した場合は,'その他の窒素化合物'として大部分排出され,さらにβ-アラニンの給与実験から,'その他の窒素化合物'の中にβ-アラニンが含まれることが推察された. しかし少量のウラシルおよびUMPを給与した場合は大部分尿素,アンモニアに代謝分解されることが示された. 従って尿中の窒案化合物の相互の比率は給与する塩基類が遊離のものかヌクレオチドであるかによって,また給与量によっても変動すると言うことができる. リボ核酸を経口給与すると尿素,アンモニア,アラントイン,'その他の窒索化合物'が排出されるが,尿素+アンモニア態窒素が最も多く,続いてアラントイン態窒素であった. 経口採取した核酸と同じように体細胞中に核酸も代謝されると仮定してアラントイン量から尿素,アンモニアの量を計算すると,内因性の尿素,アンモニアの総量の45~58%が核酸塩基由来の尿素,アンモニアであることが示された。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029