Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

137CsによるハスモンヨトウSpodoptera litura(F.)のSterile Male Techniqueのための基礎研究 4.各種の交配実験による雄蛾の交尾・産卵および孵化に関する考察

佃 律子 岡山大学
清久 正夫 岡山大学
発行日
1975
抄録
不妊処理法の基礎事項として雄・雌の交配関係によって交尾・産卵および孵化率がどのように変化するかを一定環境の下で交配実験することで明らかにした. 交配に用いた雄・雌の年令(羽化後の経過日数)の異なる場合,羽化当日の雌1頭に羽化後1-7日経過雄を1頭ずつ交配し,これらが死ぬまで同居させると,精莢は1雌1本または2本で,産卵数や孵化率は雄の年令によって顕著な減少はなかった. しかし,羽化後8日以上経過雄では交尾が遅れ,雌の総産卵数は少なく孵化率が低下した. 羽化当日の雄1頭を,羽化後1-6日経過雌と1頭ずつ交配させると,精莢は1雌1本または2本で雌の総採卵数も少なくはなくそれらの孵化率には大きな相違が見られなかったが,7日経過雌を交配すると産卵数は明らかに少なくなりその孵化率は低く,8日以上経過雌では交尾が遅れ不受精卵のみを産む組も見られ,年令の影響が顕著であった. 次に1頭の雄と複数の雌の交配実験では,雄・雌1対交配で1晩同居では精莢はすべて1雌1本,3晩同居では1本と2本の場合が半半,5晩同居では1雌2本の場合が多かった. 雄1頭と雌3頭を交配し,1晩同居では3頭のうち1頭の雌のみ交尾し精莢は1本,3晩同居では3頭のすべてに交尾し各雌の精莢がそれぞれ1本であった場合と,3頭のうちの2頭へ交尾し精莢が1雌1本の場合が半半で,5晩同居では3頭のうちの2頭へ交尾し精莢が1雌1本の場合が多かった. 雄1頭と雌5頭を交配し,1晩同居ではいずれも5頭のうち1頭の雌のみ交尾し精莢は1雌1本,3晩同居では5頭のうち2頭の雌が交尾し精莢は1雌1本の場合が多く5晩同居では5頭のうち4頭の雌が交尾し精莢は1雌1本の場合が多かったが,ときに精莢2本または3本が見られ5頭のうちの2頭が未交尾という場合があった。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029