Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

サイレージの調製法に関する研究 (第21報)材料作物の還元糖および全窒素含量ならびにトウモロコシサイレージの埋蔵初期における還元糖の変化

内田 仙二 岡山大学
須藤 浩 岡山大学
発行日
1973
抄録
サイレージ材料の特徴を,その組成の面から追究する目的で,トウモロコシ,イタリアンライグラス,エンバク,レンゲの還元糖含最および窒素含盤をそれぞれ生育段階別に調査した. また,これら成分の埋蔵後の消長を知るためにトウモロコシの3つの生育期の材料を用いてサイレージを調製し,埋蔵初期のこれらの消長を有機酸の変化などと合わせて追究した. 結果の要約は次のようである. 1)還元糖含量は,トウモロコシでは生育とともに増加し硬化期頃最高となった(乾物中含量2.65~6.53%). レンゲの場合も生育とともに増加し満開花期頃最高となった(3.66~11.96%). イタリアンライグラスは生育の初期に高く,生育の進行とともに減少した(1.73~10.02). エンバクの場合の傾向はイタリアンライグラスに類似していた(1.69~5.32). 2)各草種の還元糖(RS),全窒素(TN)および両者の比(RS/TN)の平均値は,トウモロコシでそれぞれ5.08%,1.03%,4.93,イタリアンライグラスでそれぞれ3.05%,1.39%,2.19であり,エンバクでそれぞれ3.05%,1.96%,1.56であり,レンゲではそれぞれ6.98%,3.31%,2.11であった. 3)埋蔵後の発酵と選元糖含量との関係を調査した結果,還元糖含量は急速に低下し,有機酸含量は増加した. 材料中に選元糖が比較的少ない場合,埋蔵後早期に消失し,乳酸生成が停止した. 選元糖の比較的多い場合,埋蔵後かなりの期日を経ても選元糖の一部は残存し,乳酸生成は継続し,PH価は急遠に下降した. これらのことから,サイレージ発酵における材料中の糖含量の重要性が再確認された。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029