Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

東北地方に野生する日本ハッカについて 第2報 一般形質と細胞遺伝学的分析

池田 長守 岡山大学
清水 純夫 岡山大学
唐沢 伝英 岡山大学
折笠 常弘 岡山大学
小野 清六 岡山大学
発行日
1970
抄録
東北6県と北関東の2県に野生日本ハッカの探索旅行を試み50点の試料を得た. その広汎な分布から,明治期に栽培された日本ハッカの逸出,野生化したものではなく,それ以前からの野生種であると判断された. 採集した野生日本ハッカには,2n=96の栄養系と2n=72の栄養系とがあった. 前者は探索旅行の全域に見出されたが,後者は,山形,福島県以南のみで採集された. 栽培日本ハッカ(2n=96)と類縁関係のあるのは前者であろう. 後者は,減数分裂の際の染色体の行動から,2n=96の野生日本ハッカと他種との種間雑種と考えられた. 他方の親としては,形態,染色体数,分布区域などを考慮して,M.japonica MAKINO(ヒメハッカ)と推定したが,なお疑問の余地がある. 育種的利用については,野生日本ハッカの一部栄養系に確認されたさび病抵抗性や早生性の栽培ハッカへの導入が考慮させるべきであろう。
キーワード
日本ハッカ
細胞遺伝学
一般形質
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029