この実験はその組成分が少しずつ異なる7種の純合成飼料によってハスモンヨトウを飼育したものである.1)この飼育実験において成績の最もよかった飼育区の例を上げてみると,この実験における基礎飼料にサラダ油を添加し,粉末濾紙の分量を多めにした飼料区において蛹化率が73.3%,生育率すなわち羽化した成虫数の初めの供試幼虫数に対する比率が66.7%,幼虫の発育期間(但し1令虫期間を除く)が雌19.3日,雄19.9日,蛹期間は雌9.1日,雄10.0日,蛹の体重は雌280.2mg,雄279.8mg,雌成虫1頭当たりの産卵数は755粒であった.しかしこれらの卵は孵化しなかった.2)このような食葉性昆虫の純合成飼料は一般にその物理的性質をよくすることが必要であると思う.また飼育期間中における飼育管理が発育に必要な条件であると考える。