Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

栗園及び栗林土壤の酸度及び置換性石灰含量について

本多 昇 岡山大学
発行日
1953
抄録
(1)岡山縣及他の4府県下にて栗園9地点,栗林17地点に就き栗の生育良好地12地点(内クロボク地6地点)及生育不良地14地点(内クロボク地4地点)と判定した.而てそれら地点の土壌50点に就き土壌酸度及置換性石灰含量を調査した. (2)クロボク地帯の栗生良好地にてはpH(H2O)平均4.6,同様に大工原酸度29.8,加水酸度35.3,置換性石灰0.016%,石灰飽和度2.6%である.又生育不良地にては夫々5.0,24.8, 64.0,0.014%及2.2%である.故にこの地帯にては栗の生育良好地と不良地との間に土壌酸度及置換性石灰含量に大差はない. (3)非クロボク土壌地帯にては栗生育良好地にてはpH(H2O)平均4.6,同様に大工原酸度29.0が水酸度22.7,置換性石灰0.085%,石灰飽和度29.0%である.又生育不良地にては夫々4.2,61.6,25.7,0.039及12.8%である.故に生育良好地は酸度が余り強くなく且つ置換性石灰含量は稍大である. (4)然し栗は相当石灰含量の少い処にても生育が良好である.筆者等の他の研究によれば栗は相当多量の石灰に耐へるが,又相当酸性土壌を好み土壌反応が中性に近いことを忌む. (5)従つて栗は"挾義の"或は"所謂"石灰嫌忌植物ではない。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029