Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

干拓地土壤に関する研究 第2報 塩成干拓地土壤の分類について

米田 茂男 岡山大学
川田 登 岡山大学
発行日
1953
抄録
干拓後の年次の経過に伴う各層位の含塩量,反応,置換性塩基及び塩基飽和度の変化を基礎として干拓初期の未墾地を始め干拓後の年次の古い畑地,水田の各土嬢に共通した一の分類基準を定めた.尚分類の基礎理念に関してはDE' SIGNOND及び内山氏の夫に準拠した.塩成干拓地土壌を未溶脱群,溶脱群及び再生群の3種に大別し,更に之を次に示す如く8種の土壌型に細別した.未溶脱群土壌 (1)天然型塩成干拓地土壌Cl:全層位0.1%以上,pH:全層位6.5~7.5.塩基飽和度は95%以上,置換性Na+Kの当量パーセントは12%以上,置換性Mgの含有比率は著るしく大である. (2)酸性天然型塩成干拓地土壌Cl:全暦位0.1%以上,pH:5以下の層位を伴う.塩基飽和度は著るしく小,硫化物集積す.溶脱群土壌 (3)徴溶脱塩成干拓地土壌Cl:表土0 1~0.04%,.pH:表土6~7,下層土7以上.置換性Na+Kの当量パーセントは12%以上,塩基飽和度は表土は稍々低下するが下層土は大,下層土の含塩量は多い. (4)弱溶脱塩成干拓地土壌Cl:表土0 04%以下,pH:表土5~6,下層土7以上.表土の置換性Na+Kの当量パーセントは12%以下,下層土の夫は12%以上,表土の塩基飽和度は可たり低下する,下層土の含塩量は稍々多い. (5)強溶脱塩成干拓地土壌Cl:全層位0.04%以下,pH:表土4.5~5,下層土7以下.塩基飽和度は著るしく小,置換性塩基の形態は正常土に類する.再生群土壌土壌の含塩量は多く,未溶脱群に類するが反応,置換性塩基及び塩墓飽和度は溶脱群の組成特徴を呈する土壌. (6)再生微溶脱塩成干拓地土壌Cl:全層位0.1%以上,pH:表土6~7,下層土7以上. (7)再生弱溶脱塩成干拓地土壌Cl:全層位0.1%以上,pH:表土5~6,下層土7以上. (8)再生強溶脱塩成干拓地土壌Cl:全層位0.1%以上,pH:表土4.5~5,下層土7以下.本研究は農林省岡山農地事務局の地盤沈下調査及び岡山県委託研究の一部である.関係当局に謝意を表する次第である。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029