Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

藺草の石灰要求について

下瀨 昇 岡山大学
発行日
1957
抄録
石灰施与量をかえて藺草を栽培し,その生育及び体内無機成分を測定して藺草の品質を左右する因子を検索した.2万分の1ポットに充填した土壌に対し,全量としてCaCO3 6gを施与した試験区が最も生育良好で,藺草は或程度の石灰を要求する事実を認めた.しかしより以上石灰を供与すると生育は劣つた.体内無機成分分析の結果,石灰の増施に伴いわづかながら体内 CaO含有率が上昇し,それに逆比例して K2O含有率は著しく低下する事実を認めた.土壌溶液のpHを測定したが,何れの区も微アルカリ性を呈する故に,藺草は広義の嫌石灰植物であり,その石灰嫌忌性は体内における石灰とカリとの拮抗現象に起因するものと思われる.即ち体内の石灰とカリとのバランスが適当である場合に生育に良好な結果をもたらすもので,石灰とカリとは藺草の品質及び生育を左右する重要な因子であることを認めた。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029