保崎 泰弘
岡山大学医学部・歯学部附属病院三朝医療センター 内科
岩垣 尚史
岡山大学医学部・歯学部附属病院三朝医療センター 内科
菊池 宏
岡山大学医学部・歯学部附属病院三朝医療センター内科
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濱田 全紀
岡山大学医学部・歯学部附属病院三朝医療センターリハビリテーション科
1982年から2006年までの25年間に当医療センターで入院加療した2762例を対象に5年毎にその年次推移を検討した。その内訳は,気管支喘息1578例(57.1%),COPD652例(23.6%),その他532例(19.3%) であった。1. 気管支喘息は, 第1期(1982-1986年) の5年間では
平均11.4例/年であったが, 第4期(1997-2001年) では平均93.0例/年と初期と比べ8.1倍の増加がみられた。また, 第5期 (2002-2006年) では70.4例/年と6.2倍であった。その内のステロイド依存性重症難治性喘息(SDIA;steroid-dependent intractable asthma)の頻度は初期の68.4%から第4期では29.0%,第5期24.1%にまで低下する傾向を示した。2.COPD症例は, 第1期では平均5.2例/年から第4期には45.4例/年へと8.7倍の, また第5期では47.4例/年へと9.1倍の増加がみられた。また, その中の肺気腫が占める割合は初期の19.2%から第4期では76.7%, 第5期では78.9%と明らかな増加傾向を示した。3. 気管支喘息およびCOPD症例の年齢別検討では, 60歳以上の症例の頻度は第1期では30.1%であったが, 第4期では68.0%, そして第5期では85.1%と, 年々その頻度は高くなっていく傾向が見られた。
即ち, 最近25年間の年次推移からは, 温泉療法を必要とする呼吸器疾患患者が増加しつつあること, そしてその年齢は年々高くなる傾向にあることが示唆された。