1982年1月より2001年12月までの20年間に当院へ入院した呼吸器疾患患者1934例のうち閉塞性換気障害を示す肺疾患1641例(気管支喘息BA+慢性閉塞性呼吸器疾患COPD)を対象に,5年間ごとに年齢,地域分布などの経年変化について検討を加えた。
1.最近20年間に当院へ入院した閉塞性換気障害を示す呼吸器疾患1641例のうち,気管支喘息は1226例(74.7%)であった。閉塞性呼吸器疾患のなかで気管支喘息の占める割合は,最初の5年間では106例中
57例(53.8%),1987年からの5年間では71.7% (271/378),1992年からの5年間では73.6% (433/588)で,最近の5年間では53.9% (465/862)と最近ではその割合がやや低下する傾向が見られた。
2.全ての気管支喘息のなかでステロイド依存性重症難治性喘息(SDIA)の割合は,最初の5年間をのぞけばほぼ横ばいで最近の5年間では35.3%であった。COPDのなかでの肺気腫の割合は,近年増加の傾向を示し,最初の5年間の4.7% (5/106)に対して最近の5年間では20.2% (174/862)であった。
3.年齢別検討では,閉塞性換気障害を示す全ての症例のうち60才以上の症例の割合は,最初の5年間では30.1%であったが,その後増加の傾向を示し,最近の5年間では68.0%であった。
4.地域分布では,鳥取県内からの入院患者に比べ,遠隔地(鳥取県外)からの入院患者が比較的多く,この20年間の鳥取県外(遠隔地)からの入院患者は1641例中853例(52.0%)であった。また,岡山,大阪,広
島,兵庫,東京,愛媛,山口,京都などからの入院症例が多い傾向が見られた。なお,入院患者の出身県は,35都道府県に及んでいた。
気管支喘息 (asthma)
肺気腫 (pulmonary emphysema)
温泉療法 (Spa therapy)
高齢患者 (aged patients)
遠隔地 (distant area)