N-3系脂肪酸の気管支喘息に対する有用性が示唆されているが,その評価は定まっていない。今回,5人の気管支喘息患者に対しN-3系脂肪酸であるαリノレン酸を豊富に含有するエゴマ油を用いた食事療法を行い,臨床症状,ピークフロー値,末梢白血球からのロイコトリエン産生能,血漿リン脂質中の脂肪酸組成につき検討を行った。2週間の食事療法の前後でピークフロー値は有意な改善を示し(p<0.05),カルシウムイオノファー刺激によるロイコトリエン(LT)産生能は治療前後でLTB4が77.6ng/5×106cellsから41.6ng/5×10(6)cells(p<0.05)に,LTC4は64.0ng/5×10(6)cellsから38・8ng/5×10(6)cells(p<0.05)とともに有意な改善を認めた。また血漿リン脂質中のN-3系脂肪酸(αリノレン酸,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸)も有意な上昇を認めた。以上よりN-3系脂肪酸(エゴマ油)を用いた食事療法の有用性が示唆された。