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脳卒中におけるビタミンEと過酸化脂質 第1編 脳卒中における血清ビタミンE,過酸化脂質の経時的変動

正路 浩二郎 岡山大学第2内科
98_1007.pdf 463 KB
発行日
1986-12-30
抄録
脳卒中や心筋梗塞をはじめとする動脈硬化性病変の発生や進展に過酸化脂質が関与していることが最近注目されてきたが,これは1952年にGlavindら1)が大動脈粥状硬化巣に過酸化脂質の存在を証明し,粥状硬化の程度と過酸化脂質の量との間に相関があるとした報告に端を発している.過酸化脂質は高度不飽和脂肪酸が,酸素と直接結合したもので,強い反応性を持つため酵素やビタミンを失活させ,蛋白や生体膜を変性させ,その結果として,細胞機能に障害を及ぼし,老化や動脈硬化と関連しているとされている2~4).一方,生体には過酸化脂質生成を制御している種々の機構も存在し,superoxide dismutaseあるいはビタミンE,還元グルタチオンなどのようないわゆるfree radical scavengerや抗酸化剤がその役割をはたしている.著者はその中で抗酸化剤であるビタミンEに注目し,代表的血管障害である脳卒中において,発症後より経時的に血清ビタミンE,過酸化脂質,血清脂質を測定し,ビタミンEの動態を過酸化脂質との関連において検討した.
キーワード
α-tocopherol
lipoperoxide
TBARS
脳卒中
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489