Journal of Okayama Medical Association
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肝硬変症の小腸粘膜における液性および細胞性免疫の検討

藤木 茂篤 岡山大学医学部第一内科学教室
98_955.pdf 1.16 MB
発行日
1986-12-30
抄録
消化管粘膜は,種々の食餌性抗原をはじめとし,細菌・ウィルスなどの外因性抗原や腸内細菌およびそれらが産生する内因性抗原に絶えず曝されている.これらの抗原に対しては,gut associated lymphoid tissue(GALT)が,構成するリンパ球ならびにsecretory IgA(sIgA)を産生することにより防御機構をなしている.そして,sIgAの分泌機構は免疫組織学的に詳細に検討され1,2),腸粘膜の免疫グロブリン(以下Ig)保有細胞やリンパ球についても,モノクローナル抗体の普及とともに検討されてきている3,4).既に,潰瘍性大腸炎5)やceliac disease6)などでは,その本態を検討する目的で腸粘膜内のIg保有細胞やT cell subsetsの変化についての免疫組織学的検討が少数ながら報告されている.しかしながら,肝炎をはじめとする肝疾患,特に細胞性免疫の低下7)や高γグロブリン血症の認められる肝硬変症例における腸管免疫の実態については,ほとんど検討がなされていない.そこで,著者は,酵素抗体法を用い,肝硬変症例の腸管局所における液性および細胞性免疫能の変動を明らかにする目的で,肝硬変症例の十二指腸生検組織を用いて,その腸管粘膜のIg保有細胞,secretory component(SC)およびリンパ球のsubpopulationならびにsubsetsについて免疫組織化学的に詳細に検討したので報告する.
キーワード
腸管免疫
肝硬変
酸素抗体法
ISSN
0030-1558
NCID
AN00032489